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99/6/24
とにかく、すごいことが起こる気がするのです。出発日は6月24日、午後9時。ハワイ島に到着するのは同日午前9時。そして、この日は私の誕生日。1年にたった1日しかないはずの誕生日が今年は2日間あるのです。
コナ空港に到着して、まず感じたことは、「こんなところ、大嫌い!!」。
このBig
Islandの空気、木々、海、花、溶岩、鳥達、葉の形、何もかもがあまりに美しすぎて、そしてあまりに生命感に溢れていて、霊を感じて、見るもの全てに感動して心が忙しすぎるのです。こんなに動揺した日々がこれからしばらく続くのかと思うと、「もう、勘弁してくらさい...」と言うしかない、そんな心の有り様でした。
99/6/25
リハーサルの日。
海をバックに野外ステージが組まれていて、ほぼ4、5時間おきに海から突風が吹き寄せ、明日のコンサートの時間にはこの風が止むようにと祈っていました。今回の出演者といろいろ会話をしたり冗談を言い合ったり、すこしぴりぴりとしたりもしながらもとりあえず、今日は全曲をつるっと流して、3時間弱でリハ終了。
夕方にはDolphin
ProgramといってHilton Waikoloa
Villageで飼育されているイルカ達が素晴しいショウを見せてくれました。涙がでました。パフォーマンスとはこうあるべきだ!というのを教えられました。
正直なところ、私達、ミュージシャンは(いえ、私だけかもしれませんが、、)楽しくもないのに笑顔をつくってみせたり、嫌な仕事のときは本人は気付かないまま、すごく愉快でない態度をみせていたりしているところが少なからずあると思います。
しかしながら、イルカ諸君は(いえ、その本意は私のような若輩者にはまだ理解することはできませんが)エンターテインメントとは何かということを熟知しており、それが病んだ人間の心を癒すことも彼等はすっかりお見通しの様子。
何をおしむこともなく自らが持つもの全てを与える、その姿勢とプラス、プロといえるだけの高い技術こそがショービジネスの有るべき姿。(たとえ、演技をするごとにおさかなを頂いていたにしても)私達が見習わなければいけないところを、これでもか!と見せつけられた、そんなショウでした。
99/6/26
メインコンサート。
8月発売の音楽雑誌ADLIBに掲載されていますが、その記事のノーカットのレポートをここに載せます....
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"Dolphin Days" 1999 ----The
Great Waikoloa Food, Wind & Music
Festival---
今年で5周年を迎えたこのジャズフェスティバルは夢と現実が交錯する楽園、ハワイ島で行われた。太平洋海洋生物の保護とハワイ・シュライナーズ小児病院へのチャリティーを目的として集まったミュージシャン11人は「オールスターバンド」と自らを銘打って、3時間半にわたるパフォーマンスを行った。
ジューン・クラモトとキモ・コーンウェルによるオープニングアクトは、こぼれ落ちるような琴の音色と洗練されたジャズサウンドが融合され次第に観客を暖めていく。
30分程のインターミッションをおいて、メインコンサートへ。今回のスペシャルゲストでもあるハーヴィー・メイソンのインスト曲が数曲演奏される。
その後、少々緊張しながらも私、ミナコ・オバタがステージに。正直なところ、自分がどんなパフォーマンスをしたのかよく覚えていない。それほどに興奮していた。それが満月のビッグアイランドであったというセッティングのせいか、素晴しいバンドに支えられたせいか、とにかく、今まで感じたことのないスリルを感じながらTRUE
PEACE OF
MINDとSPAINを歌い終えた。そしてそのスリルと同時に、観客も間違いなく何らかのモノを感じていることが受け取られた。
続いてポリーン・ウィルソンが伝説ともいえるシーウィンドのDEVIL
IS A LIARとSUNSHINE OF MY
LIFEを歌う。私よりも頭一つ分小柄な彼女が、私よりも長身に見えた彼女のステージは貫祿に満ち溢れたものだった。ジューンの和らかなイントロで始まったSUKIYAKIではポリーンと私の共演、このコンサートのハイライト第1段というべき素晴しい一体感のある暖かい曲となった。
デビット・ガーフィールドによる楽曲、MEMORIES
OF
RIOではデビットとフレディ・ワシントンのロマンティックでアグレッシブな掛け合い、フレッド・シュルーダーのギターソロ、神がかった
レニー・カストロのパーカッションソロを聴くことができた。
否応無しに盛り上がる観客の前に現われたのは「ジーザス・クライスト・スーパースター」で知られるカール・アンダーソン。スタンディングオベイションの中、カールをリードとして3人のヴォーカリストが共演したLET'S
STAY TOGETHER
では照明が全て消えてしまうというアクシデントも手伝い、ステージと観客は一つになった。車椅子の老人が手をひかれて立ち上がり踊り始めた姿には音楽の計り知れない力を感じずにはいられなかった。
エンディングには今講演のMDでもあるマイケル・パウロの最新アルバムに収録されているMILLENIUM
SWING
とともに、夜空を埋め尽くす花火が打ち上げられた。
アメリカの音楽ビジネスの一線で30年以上ツアーマネージャーを続けてきたブルー・ジョンソンは今回のコンサートを「音楽史に残る神秘的な満月の創造による一夜」と語っている。この経験は私の音楽人生のなかでも絶対に忘れることのできない一幕となることであろう。
参加ミュージシャン
Carl Anderson (Vox),Lenny Castro
(Perc),Kimo Cornwell (Keys),David Garfield (Pf.
Keys),
June Kuramoto (Koto),Harvey
Mason (Drs),Minako Obata (Vox),Michael Paulo
(Sax),
Fredd Schreuders (Gr),Freddie
Washington (Bass),Pauline Wilson (Vox)
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さて実際終わってみると今回のコンサートは、私の音楽人生の中で最も印象的で、最高で、でも最も心の痛むコンサートでした。
参加したミュージシャンのほとんどは面識もあり、親しくしている人達も何人かはいたのですが、もちろん初対面の人もいました。そんな中でCarl
Anderson、この人のことを言及しない訳にはいきません。「Jesus
Christ Super
Star」のユダ役で彼を見にしたことのある人も少なくないことでしょう。私もそのミュージカルや映画で彼を知った一人です。
テレビや映画をとおして人を見る時、それが良いのか悪いのかは別にして、誰でもいくらか違った姿に映ることがあります。その人物の本当の大きさ(物理的なサイズまたは精神的な大きさを含めて)は実際に本人に会ってみないとわからないことが多々あります。彼は全くそんな人でした。また、同じステージに立たなければならなかったということも手伝っていたのかもしれませんが。
とにかくリハーサルにしても本番にしても、彼が一声上げる度、私は胸ぐらを掴まれて「これが歌というものだ!君のは一体何なんだい??」と問いかけられているようなそんな気持ちに成らざるを得ませんでした。彼の歌は迫力と愛と自信に満ちあふれています。そしてその力が聴き手を安心させ、心を開かせるのです。今、自分自身に問いかける日々が続いています。果たして私は一体何のために音楽を創り、歌を歌っているのでしょうか?と。
答えはそう簡単に見つかりそうにありません。しかしそんな中で一筋の光を見せてくれた人がいました。これもまた今回のコンサートに参加していたLenny
Castro(Perc)です。彼曰く、
"I've got to play , You've got
to sing , We can't live without it !! 'cause that's
our life !!"
単純で明確でありました。結局そういうことなのです。そのボトムラインをしっかり持ってさえいれば万事OKなのかもしれません。
しかし私の悶々とした毎日は続くのでありました。
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